集合体がもたらす
感覚の境目における
魅力についての制作
集合体は集合体恐怖症の人間にとって、学習
できない対象である。
集合体を苦手と自負する多くの人が「こわい
もの見たさでつい」と、
苦手とする対象を自ら繰り返し見てしまうと言う。
そのとき鑑賞者は集合体の持つ力、すなわち
魅力に強く惹かれている。
人間が集合体に対して抱く“興味” が“嫌悪感” に変わる境目に、
より強い“魅力” が存在するのではないかと私は考えた。
今回の展示作品は「制限のある空間に玉が内包されている」という
動眼の構造を引用した球体をパーツとし、制作したモビールである。
宙に浮かぶ球体に鑑賞者が接触することで生まれる力の影響を受け、
不安定な動きが空間の
境界を揺らす。
揺れに付随して多数の動眼構造の半球から発せられる音が重なり膨張していく。
集合体の感覚の境目の魅力を、視覚でも聴覚
でも体感してもらいたい。