多摩美術大学情報デザインコース作品展「できごとのかたち」は、この1年の演習やゼミの課題作品を集めた展覧会で、今年で9回目を迎えます。教員の推薦をもとに出展作を決め、展示設計から設営、広報に至るまで、学生有志と教員スタッフとの協働(コラボレーション)によってつくられています。
たとえば椅子をつくるとき、造形や素材といったハード面からだけでなく、ソフトの側からもアプローチしてみると、座るという「できごと」をデザインするという発想が生まれます。「椅子をデザイン」するから「座ることをデザインする」への変換には、椅子ではない新しい何かを生む可能性があります。私たちはその未知のデザイン成果を「できごとのかたち」と名付けました。「informa desegno」は、エスペラント語で「情報のデザイン」のこと。エスペラント語は、19世紀後半につくられた人工言語で、世界中の人々のコミュニケーションの助けになるようにと考案されました。文法に例外をつくらないなど、だれもが簡単に学べるように工夫されています。そういったエスペラント語のデザイン思想に共感し、タイトルとして使用することにしました。また、デザインを意味する「デゼグノ(Desegno)」は、多摩美開学当時の機関誌名でもあります。
本展は、在学生の成果を展示するにとどまらず、展覧会という「できごと」をもデザインした、多様で豊かな情報デザインの息吹を感じていただける展覧会です。