2023多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業制作展

2023 2.24FRI 26SUN 11:00-20:30 最終日は19:00まで)

at 3331 Arts Chiyoda

この度、私たちは、
多摩美術大学 情報デザイン学科 メディア芸術コース 4年生有志による、
卒業制作展覧会『裏面上(りめんじょう)のステッチ』を開催いたします。


大学外の場所をお借りした卒業制作展は、
学生主体の運営で年ごとに開催され多くの方にご来場いただいてきました。
こうした機会は、メディア芸術コースで学んできた学生の活動とともに、
メディア芸術コースについて知っていただく機会にもなっています。


今年の卒業制作展には例年以上に多くの学生が出展しています。
その作品一つひとつに独自の評価軸が存在しており、
それぞれがそれぞれに深く語らえるものになっているでしょう。


私たちは、これらの作品が一同に会する意味を、改めて考えます。


「同じ場所で学んできた者たちが、どのようにして異なる作品を作ったのか」


「同じ見た目に近づいた作品が、どうやって異なるアプローチで展開したのか」


「同じテーマを秘める作品が、どんな異なる手法で制作されたのか」


「同じメディウムの作品が、なぜ異なる意味を持つのか」


「異なる出自、意味、手法、メディウム、テーマ、アプローチ、思想の作品が
ひとつの場所に集まったとき、一体なにが表出されるのか」


本展覧会『裏面上のステッチ』では、
この「一同に会する意味」を、
刺繍の裏面に似ている、と考えました。


刺繍の裏面は、形を為そうとするパターンの中に、
ランダムな動きや、迷いや、遊びがあります。
その結果、糸同士は絡み合って、思いもよらない繋がりができたり、
逆に意外な独立性が生まれたりしています。


しかし、それらは通常、表面から見ることの無いものです。


本展覧会での作品たちは、
表面から見えないところに、思わぬ繋がりや独立性を持っています。


刺繍の裏面の、複雑で、意外な模様〔ステッチ〕のように、
作品の表面だけでは見えてこない『裏面上のステッチ』。
それをあえて想像することで、より深く作品たちを読み取れると考えています。


卒業して、異なる場所で次のものづくりに向かう私たちが、
どのようにして学び、どうやって思考して、どんなところに向かうのか。


皆さんにも、ぜひ思いを巡らせながら鑑賞していただければと思います。

Course-Introduction

メディア芸術コースについて

多摩美術大学情報デザイン学科「メディア芸術コース」は、米Apple社が最初のiMacを発表した1998年に設立され、それから24年、インターネットやモバイルデバイスの普及による社会の大きな変化と並走しながら、多様で複合的な芸術表現の可能性を探求、実践し続けてきました。 90年代のウェブの普及や、インタラクティヴなメディアインスタレーション作品の誕生を踏まえ、「デジタルメディアを基盤とする美術教育」をテーマに出発した学科の教育も、それは程なくデジタルのみならず、既存の、そして未だ見ぬあらゆるメディアをも批判的に包含した、ハイブリッドなアプローチへと拡がっていきました。 特にその傾向は、2007年以降のスマートフォンの普及による、デジタルとアナログ、物質とイメージの境界が融解したポストインターネット時代の到来によって、さらに顕著なものになりました。現代美術はもはや、メディアアートの一部となり、「デジタルテクノロジー」や「メディアアート」の姿も意味も、24年前とは大きく異なるものとなりました。
リアリティーや真実を無効化するSNSやAIによって分断と格差が横行し、感染症の蔓延とコミュニケーション不全、さらには世界各地で戦争が継続する現代社会の困難の内で、人間原理の象徴でもあった美術やデザインに、いったいどのような役割や機能が残されているのでしょうか。 そうした根源的な問いを考え続けるために「メディア芸術コース」では、いつの時代にも議論されてきた技術と表現、自然と人間のダイナミックな関係に立ち返りながら、複合的な視点と実験的な精神による制作研究を続けています。 コース全体は、それぞれ独自のテーマを持つ3つのラボで構成されており、それぞれのラボが自律かつ協働しながら、今、ここにしかない独自の創造的文化をつくり上げています。
情報デザイン学科メディア芸術コース
教授 久保田晃弘

Event

イベント開催情報

ライブイベント「裏面上のステッチ クロス×オーバー」

開催期間
最終日16時〜19時(時間は変更の可能性があります)
企画内容
出展学生のほか、本学科教員・本学科卒業生をゲストにお招きし、ライブパフォーマンスによる今のメディア芸術コースを象徴するイベントを行います。
出演者 久保田晃弘、(擬物化された)古山寧々、谷口暁彦、なまず丼、花形槙、檜村さくら、吉岡雄大、米澤柊、ほか(五十音順・敬称略)
出演者情報
久保田晃弘 × 擬物化された古山寧々
久保田晃弘
ゲストパフォーマー
久保田晃弘

多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授。工学博士。 「ARTSATプロジェクト」の成果で、平成27年度(第66回)芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)を受賞。
著書に『遙かなる他者のためのデザイン―久保田晃弘の思索と実装』(BNN新社/2017)、『メディアアート原論』(フィルムアート社/畠中実と共編著/2018) 『ニュー・ダーク・エイジ』(NTT出版/監訳/2018)、『音と耳から考える─歴史・身体・テクノロジー(細川周平編著)』(アルテスパブリッシング/共著/2021) などがある。
http://hemokosa.com/

擬物化された古山
サブパフォーマー
擬物化された古山寧々

モノによって擬物化されてしまった古山寧々。
2021年頃から増殖しはじめ、現在では10体の擬物化された古山が存在する。 (※擬物化とは擬人化の逆、モノによって捉えられた人間の姿のこと)
オリジナルの方の古山は、2023年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

花形槙 × 碧音
花形槙
(Photo by kaori NISHIDA)
ゲストパフォーマー
花形槙

2020年 慶應義塾大学SFC卒業、2022年 多摩美術大学大学院修士課程情報デザイン研究領域修了。 テクノロジカルに加速する資本主義社会において変容する、自-他の境界、人間-非人間の境界への関心のもと、「私」でなくなっていく、「人間」でなくなっていく肉体についての実践を行う。
主な作品に、人間そのものが商品化される”存在代行”サービス《Uber Existence》、 眼を異なる身体部位に移動させることで人間の身体規範を逸脱していく《still human》など。主な受賞に、第25回文化庁メディア芸術祭アート部門 新人賞、CAF賞2022 優秀賞など。

碧音
サブパフォーマー
碧音

藤沢市在住 横浜平沼高校卒業 多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース4年 写真や映像のディレクションや撮影を行い、様々な形でアウトプットを行う。 幼少期からダンスを続けており、身体表現を得意とする。
2023年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

    
檜村さくら × 米澤柊
檜村さくら
学生パフォーマー
檜村さくら

1998年生まれ。美術家・映像作家。近年は、「映像」と「空間」と「それらに干渉する身体」の関係を作品のなかで主題としている。 高校時代の合唱の経験や、民俗学への興味から来る「悟り」や「儀式」などの宗教体験への関心・また2010年代に日本のサブカルチャーにみられた「セカイ系」の影響から、『入れ子構造』というものに強い関心があり、制作では映像メディアによって発生している入れ子構造について再考を促す作品を制作している。
主な個展に<「遂平線」ー虚構の構造>2021(float)、多摩川の河原での個展 <回天体> 2018 など。
2023年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

米澤柊
ゲストパフォーマー
米澤柊

東京生まれ。アーティスト、アニメーター。現在のデジタルアニメーションにおけるキャラクターの身体性と、現実空間の生き物が持っている心の身体性と感情について、またそれらアニメーショ ンが生きる空間の空気を制作している。
主な作品/個展に「名無しの肢体」(Tokyo arts and space本郷[OPEN SITE7], 2022)「絶滅のアニマ」(小高製本工業跡地[惑星ザムザ], 2022)、「劇場版:オバケのB′」(NTTインターコミュニケーション・センター, 2022)、「場所たちのいる場所」(熱海市街地[ATAMI ART GRANT], 2021) など。
http://shuyonezawa.com
https://twitter.com/mendakoanime
https://instagram.com/mendakoanime

谷口暁彦
ゲストパフォーマー
谷口暁彦

メディア・アーティスト。ゲームアート、ネットアート、映像、彫刻など、さまざまな形態で作品を発表している。
主な展覧会に「SeMA Biennale Mediacity Seoul 2016」(ソウル市立美術館、2016)、「超・いま・ここ」(CALM & PUNK GALLERY、東京、2017)など。 企画展「イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景、リアリティ、物語、自我」 (ICC、2018–2019)にて共同キュレ―ターを務める。

なまず丼
学生パフォーマー
なまず丼

岡山県出身。
普段はイラストを描いている
パフォーマンスやインスタレーション等、活動内容は多岐に渡る。
2023年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

吉岡雄大
学生パフォーマー
吉岡雄大

茨城県出身。実家は自動車屋。 多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コースで、キネティックアートやサウンドパフォーマンスを中心に制作活動をしている。自作のアバターロボットによる講評会参加や展示など、実験的な制作活動に関心がある。 2021年度多摩美術大学情報デザイン学科 メディア芸術コース3年学外展 「憑依する“Null”」代表・出展 ライブイベント 多摩美の音楽実験室2022「ゾンビと震動」出演 パフォーマンスライブ「こんばんは、メ芸」 企画・設営・出演 3331 ART FAIR 2022 3331ArtsChiyoda美術室プロジェクト出展。
2023年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

来場者参加型企画「糸かけマッピング」

企画内容
会場出口付近にて、展覧会場設置の巨大マップに、本展覧会の作品たちを見て皆さんが感じた「つながり」を糸で表現してもらいます。
様々な来場者の感じた「つながり」を見てみると、思いもよらなかった「つながり」も発見できるかも?
参加者
ご来場者さまならどなたでも
開催期間
開場期間に伴う

Access

アクセス

  • 3331 Arts Chiyoda 1F ギャラリー
  • 〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
  • 東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分
  • 東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分
  • 都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分
  • JR御徒町駅南口より徒歩7分
  • JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分
  • JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩15分

Sponsors

協賛企業

株式会社ココノス

株式会社コマデン

株式会社SHINDO

株式会社スーパースーパー

株式会社セルシス

株式会社P.I.C.S.

株式会社FUNDINNO

株式会社レベルファイブ

篠原紙工

ファブラボ神田錦町

ミヤマ電設有限会社

吉田金糸店