本展示メインヴィジュアル制作について
このオブジェクトたちの大元は「Sweep - Space - Surface」、略してS - S - Sの文字の連なりを表したドローイングである。この形を元手にやわらかな膜を持った自由に形を変えるオブジェクトたちを、全体にコラージュして表現している。
「Sweep - Space - Surface」は個人とその周りの関係を表した展示タイトルで、このメインビジュアルもそのような考え方で作られた。
言わずもがな、人は常に心や思考を持っており、私たちはそれをじっと見つめ、解体して再構成し、制作し続けている。
人のそれは常に変化し続け、あらゆる事象と境界面で触れ合いまた変化を起こす。その変化は触れたものをさらにまた変化させるかもしれない、まるで流動体のように。
今年瞬く間に広まった、例外が原則に、原則が例外になるほどの生活の変化は私たちの心や思考の変化を、大きくまた急速に変えていくものだった。気候が暖かくなっても部屋にこもることはまるで、外で降り続ける大雪から逃れるように布団にくるまって家で過ごす感覚で、彩度の高い緑色の眩しい陽気の届く窓際にいても今年の冬は続いているようだった。
未だ根本的な解決法は決して見つかっているわけではない。しかし、難しいゲームの新しいステージを失敗するたびにちょっとずつ攻略のコツを掴んでいくように、私たちはこの生活の変化を攻略している。それは流動体だから、それを取り込むような形になって、新しい形の流動体で復旧していく。そうしていくことで新しい春の兆しを見つけることができる。見つけている。
私たちはこの展示でより新しい私たちの持つ心や思考を解体して再構成した表現を展開する。
そのような考えのもとこのメインビジュアルを展開した。