主担当教員

矢野英樹

概要

a)対話やコミュニケーショントレーニング、アイデアや発想といったデザインの基盤となるワークショップを行 った後、二つの課題 1, 橋本商店街のフリーペーパ制作と 2,Bluetooth オーディオの UI デザインに取り組みまし た。橋本商店街のフリーペーパは、掲載店の取材から記事の編集といったデザインに関わるすべてを、学生中心 で行います。フリーペーパは、2017 年 1 月末から橋本周辺で実際に配布されています。(1, 橋本商店街協同組 合との産学協同研究「橋本商店街協同組合広報に関する研究」/ 2, ソフトバンク コマース&サービス(株)との 産学協同研究「Bluetooth 製品における UI デザインの研究」)


b)食と農をテーマに実体験を通じてデザインあるいは作物をつくります。 湘南地域の田畑を借り受けて、田んぼでは少量多品種でお米(うるち米のアキニシキやハッピーヒル、黒米の紫黒苑、もち米のマンゲツモチ等)を合計で 500 キロ程度、畑では津久井在来種の大豆を 90 キロほどつくっています。農作業は、田植えや稲刈りなど協力して行う作業が多くあります。今、田植えや稲刈りでボランティアを募集すると、東京、神奈川、千葉、埼玉から多いときは二日で 40 名もの人が集まります。現代の都市は共同作業が無く、 人とかかわりたくとも、人とかかわるための何か特別なイベントが必要な状況です。日常的に共同作業が無ければ、 共同体(コミュニティ)が形成しにくいのに対して、農作業は共同作業が多いので、かかわりあいを取り戻して コミュニティの結束を高めるのにはうってつけです。現代の私たちの社会は、未来が不透明なだけでなく、大地が地震によって揺れ動くことや、その後の対策が不十 分なことなどからわかるように社会制度も不安定です。このような時代を生きるためには、複数のコミュニティ に属することで、先の見通しの手がかりを掴みやすくなります。また、それは自分と他者のお互いの存在を認め る可能性を開くので意識の安定もしやすくもなります。複数のコミュニティとは、実家のような出番や役割が無 くともそこに居るだけで認められる場や、この農業などの目的を共有したコミュニティ、仕事関連のコミュニティ、 地域のコミュニティなど他にも考えられるでしょう。不安定な現代を生きるために、多様なコミュニティをかた ちづくることや、その参加の仕組みづくりもデザインの対象になっています。


c) 物々交換ワークショップ
物々交換の交換アイテムは持って来た相手によって価値が変わります。関係が薄い人との交換はリスクが高いため、交換したいものがあると、まず相手に対して目を向けることになります。相手が自分の申し出を受けてくれるかどうか、また相手を信頼できるかどうか日頃の振る舞いを考えたり、さらに交換アイテムをよく観察して使用状況を想像したり、その他、アイテムが相手のところでどんな末路を迎えるのか等、交換までに吟味すべき点
はいくつもあります。それに比べて、日常のお金を通じての売買は、お金を信用することで相手のことや、手放したアイテムがどうなるのか等、その先の人や世界のつながりを深く考えずとも成り立っていたことに気がつきます。現代は売買による社会的関係や、その影響が以前に比べて大きくなって見えにくくになっています。目の前の取引からモノゴトをよく調べて関係を理解すること、そして、どんな社会をつくるべきかを考えた上で何を
買うか判断する必要があります。