UPDATE: 03.04 /NEXT:03.05

きになるゼミナール、三限目は、
ワークショップとインタラクションゼミ(通称:矢野ゼミ)の合宿にお邪魔しました!
矢野 英樹先生ご指導のもと、12名のゼミ生で構成されています。
今回は、5名の生徒に集まっていただきました。
山梨にある多摩美術大学のセミナーハウスで、じっくりお話を聞いちゃいます。


では、まずはワークショップとインタラクションゼミ、
二日間の合宿を終えての感想を教えて下さい。
田中前回は卒業制作があったから、楽しみきれなかったけど、
今回はゆっくり楽しめてよかった。
前回は10月終盤に合宿があったんですよね。
田中最終審査会まであと40日ぐらいだったからね。
女性陣にも聞いてみましょう。
この二日間の合宿はどうでしたか?
伊橋あとは卒業するだけの時期の合宿で、
なんか、散歩もして、開放的な気持ちで…落ち着いた時間を…落ち着いてたのかな?(笑)
わかんないけど、落ち着けました。
佐藤一区切りついたところで…そうだね。ゆったり出来たのがすごい良かった。
オーカードとかで、みんなのこれからの事も話し合えたし。
聞きなれない単語ですが、オーカードとはいったいなんですか?
佐藤 OHカードとは、カードを用いて自分自身と対話するコミュニケーションツールです。
文字カードと絵文字カードの組み合わせから、
自分の中のイメージを自由にふくらませていき、
自身の内なる声に耳を傾けます。
占いとは違い、自分自身が考え、
自分なりの答えを出していくものなので、
カウンセリングなどにも用いられています。
OHカードを行なっている様子
佐藤あと、普段90分使って話しあったりすることってなかなかないから、
すごく密度のある時間が持てたのも貴重な体験だなって、思います。
90分も話し合いをするんですか?
佐藤はい。これは合宿の一環で行ったエンカウンター・グループのことです。
エンカウンター・グループは、円陣を組んで、
自由な議題で時間いっぱいまで話し合うという手法です。
相互理解を深めるために、合宿内で行なっています。
なるほど、この円陣を組んだ状態も、
エンカウンター・グループの形式を意識してるんですね
太田そうですね。
合宿では、こういう授業とは全く違うことをやっているから、
とてもいい気分転換になってます。
エンカウンター・グループを模した話し合い
ではまず一つ目の質問です。
ワークショップとインタラクションゼミはどういった手法や、順序で、ゼミを進めていますか?
養田うーん。
プレゼンじゃない公開報告会?
伊橋なんか毎週毎週これをやってきましょう、っていう決まりとかはないんだけど、
個人で家で進めてきて、発表して、の繰り返しをしていく中で、
みんなの状況とか作品を知りながら進めていく感じかな…。
他のゼミもそうかも知れないけど。
…その、ゼミの時の、空気が……なんか……
その空気が…?気になります(笑)
伊橋なんか、課題を与えられてやってるっていう感じじゃなくて、
今週ここまで進んだとか進まなかったとか、
そういう悩んでる人のを一緒に聞いて考えたりっていう雰囲気が、
アットホームだったなぁ〜って。
アットホーム
佐藤どういう卒制を作ろうか、っていうところから始まったんじゃなくて、
自分の中に何があるのか、を出していく作業から始まったから、
みんなそれぞれ独自性が強く出て、
作品の幅が広がったんじゃないかなぁって
…そのかわり、ぎりぎりに…(笑)
一同笑い
養田なんだろう…卒制以外にも勉強になることを教えてもらったなぁって。
大事な雑談っていうか、
留学の話とか、進路の話とか、会社の話とか、お金の話とか、
そういう卒制以外の話が多くて…
「なんで今そういう話なの?」って思う人もいるかも知れないけど、
私はそういう、いろんな話が聞けて面白かった。
全体的に見て、生きていく知識をもらえたのかな、って。

<ゼミでの進め方で取り入れているもの(方法など)を教えて下さい。>

基本的に、自由にやってもらっていました。
みんなが自分のテーマで、自分でやる。
やっているところに合わせて、話を聞く。
ただ、計画がないというわけじゃなくて、
テーマ設定はどういったプロセスでやるとかは決まっています。
それと同時に、お味噌を作って、
そのプロセスをインフォグラフィクスで表現することをやったりして、
食べ物自体に興味が向くようなプログラムを用意したりだとか。
それも、卒業を目前に控えた時期に、ちょうどお味噌が仕込みあがるようにして、
発表が終わって、みんなでお味噌汁を食べてみて、
一年間で作ったものは卒業制作以外にもあるなぁ、って気づく。
卒業制作以外の外側にも目を向けるようになる、
多面的な構成にしています。
それでは、次の質問です。
先生がおっしゃっていた言葉で、特に印象的だった言葉を教えて下さい。
太田うーん。「なるようにしかならない」っていうのは、
最終的に自分でも一番しっくり来る言葉だったっていうか…
最終的に、ですか?
太田それを初めて聞いた時は、「え、でも…」って足掻いちゃうタイプだったから、
最初は納得してなかったけど…、
聞いたことによって、負けないって気持ちにもなるし、
やってみたけどこれぐらいしか出来なかったっていうときにも、
その言葉を思い出すと、悪い後悔として残らないようになる…
…魔法の言葉?みたいな(笑)
一同笑い
伊橋…本当、そういう、「なるようにしかならない」とか、
「あるがままでやったらいいんですよ」って言葉の中に…
自分が試されているのかなぁ、って思いました。
他にも、「自分が惹かれる、魅力的だなって思った方向に考えていけばいいんだよ」とか…
自分自身を深く考えさせてくれるような言葉が多かったかなぁって思って。
養田ちょっと違う話になっちゃうけど…
「いいんですよ」っていう言葉に反抗したくなるのはなんなんですかね?
一同笑い
そ、そうだったんですか?
養田私、「いいんですよ」って言われても、よくないよ〜ってずっと思ってて(笑)
一同笑い
伊橋うん、私もそう思うことはあるし。
「これでいいのかな!?」って思うけど、
そう思うことで、また自分について考えるし。
養田そう、そのきっかけとしては、いい言葉だなって思うんですけど…
…「いいんですよ」で終われない(笑)
一同笑い
田中なんか…「いいんですよ」っていう言葉は、今だったらわかる。
元々、卒業制作を作るにあたって、ずっと考えてたのは、
やっぱあくまで「いい作品を作りたい」。
みんなそうだと思うんだけど。
じゃあ、いい作品を作りたいんだけど、何をしていいのかっていうと、
それが、要はわかんないわけじゃん。どうすればいいのかなんて。
結局自分もわかってないわけ。なにがいいのかって。
田中くん
田中で、最初は、やっぱりどうしても、
周りから見てすごいって言われるような作品を作りたいって、思ってるんだけど。
だけど、結局、卒業制作って、普通のデザインワークとかとは多分違って、
自分が納得できるところまで作ったらそれでゴールなんだと思う。
自分が、これでやり切ったって思えるんだったら、
それが卒業制作の終着点だと思う。
その意味で、「あるがままでいいんですよ」って言葉は、
すごくしっくりくる。
なるほど。
制作中は、その言葉に対して葛藤していたんですね。
田中うん、最初は本当に、養田さんと同じような感じで。
養田…私は、今、納得しました(笑)忍くんの話聞いて。
佐藤さんはどうですか?
佐藤私は、「あるがまま」っていう言葉が、
「そのままの自分を受け止める必要がある」っていう意味でも、結構印象に残ってて…
私は卒制を作ってて、自分に技術がないのがすごく気に入らなくて、
描いては落ち込んでを繰り返してたんだけど…
…まぁ、でも今の自分はこれだっていう風に思えたりして、
自分の中から納得できるテーマに向かうことができて、すごくよかった。
私の場合は、……いいものっていうか、自分を残したもの。
ちゃんと自分と向き合えたかなぁって。

<ゼミ生に向けて意識して言ってる、使っている言葉を教えて下さい。>

みんなに言われて「あぁそっか」って思ったのは、
「それでいいんですよ」っていうのとか、「あるがまま」っていう言葉。
意識してたっていうより、本当にそう思って言ってて(笑)
…あれもない、これもない、っていってたら、
みんな持っているものなんてちょっとしかないので、
何時まで経っても何もできなくなっちゃうんで、そういうつもりで言ってました。
意識して言ってるのは、「体にいい物を食べてください」です。
これはすごい意識して言っています。
では最後に、ゼミの授業を一年通しての感想をお願いします。
田中一言で言ったら、生き方を探った一年でした。
それが、ワークショップとインタラクションゼミだと思います。
佐藤生活面も含めてというか、デザインを作ってる現場とか、
人とか、考え方にも焦点をあててるようなゼミでしたね。
養田やっぱり、自分と一番向き合った、ゼミでした。
ここに来て、自分探しの旅を一年やるようになった感が(笑)
一同笑い
養田あるがままとかじゃないけど、自分で見つけていくのは楽しいなって思って…
…あと、感想とはちょっと違うんだけど、四年生が一番泣きました。
うーん、いろいろある時期ですもんね。
養田たぶん、忘れないなっていう。何年後かに振り返ると、
自分の軸みたいなものになっていると思う、いい時間でした。
伊橋私は、なんか…ゼミに参加している時の出来事は、
自分の中に入ってきてもあまりとらえどころがないというか…
…まだ、しっくりこないという感覚のことが多かったんですけど、
後になって考えてみると、
「あぁ、こういうことだったのかぁ」って、
自分にこういう影響を与えてたんだなぁっていう言葉が多かったです。
後になって、実感できるようなことが多い…
…そんな、考えさせられるゼミでした。

<全3回の審査会を終えて、一年間を振り返ってみての感想を、
ゼミ生に向けてお願いします。>

一年間を通しての感想は…
…毎年感じるんですけど、大変だったなぁ………と(笑)
それぞれは面白いんですけど。
僕も、皆さんと関わって学んでることが多いので、
物事の多面性をみんなから学ぶ、
例えば、他の人の多面性を見て、
あぁ、自分にもこんな多面性があったらいいなぁ〜っていうことを、
自分のやっていることに関連させて行ったり、
影響させていったりということをして…
まぁ、自分も鍛えあげながら、一緒に学んでいくという一年間でした。
僕にとっても学びの深い時間でしたね。


ワークショップとインタラクションゼミは、
卒業制作を通じて、自己の内面と深く向き合っていきます。
今後の人生を改めて考えるきっかけも多いゼミだと感じました。
のんびりとした雰囲気の中に、どこか達観した佇まいを感じたのも印象的でした。