UPDATE: 03.08/LAST UPDATE







卒業制作の切ない裏話を紹介するNAGEKI、毎回とっておきのNAGEKIを写真と共に紹介していく。 第一回のNAGEKIはこちらの板。同じような穴が空いたこの板は…?「僕は卒業制作でししおどしデバイスをつくりました。上の写真はその作品パーツを繰り抜いた板です。穴の数だけパーツが出来たのですが、実際に組んでみると、設計のミスが多々ありました。僅かに高さが足りなかったり、穴の大きさが大きすぎるなど…全てボツです。」一度に多くのパーツを切り出すため、そのダメージは計り知れない。しかし、彼はこう語る。「失敗を繰り返す中で洗練されていくのが自分でも分かり、嬉しかった」と。卒業制作を完成させた彼の顔に、当時のNAGEKIはもう、ない。爽やかな笑顔を浮かべる今の彼が見たい方、作品ページをお楽しみに。






「私は、今回うどんに関するiPhoneアプリを制作しました。発表を間近に控え、画像素材はほぼ完成していたのですが、プログラミングがなかなかはかどりませんでした。その時、iPhoneアプリのプログラミングに精通している知人に助けてもらいました。完成したデータを受け取り、iPhoneで起動!…と思ったら、この画面のまま…。」これは、スプラッシュ画面と呼ばれる、iPhoneアプリを起動した瞬間に登場する画面だ。「普通なら、このあとアプリが始まるのですが、いつまでたってもこの画面のままで。しかも、相手のパソコンだと動いているのに、私のパソコンから動かすと動かないので、このまま動かないのではないかとすごくハラハラしました。」
そう言ってNAGEKISTは、苦い思い出を押し流すかのように、ジョッキを一気に飲み干した。ただし、こちらのNAGEKIST、下戸なので中身は緑茶である。






制作は常に時間の制約との戦いである。限られた時間の中で、確実に作業をこなしていかなければならない。今回は、そんな時間にまつわるNAGEKIだ。「卒業制作が始まってから数ヶ月、何を制作するかも決まらぬまま、3週間の教育実習に行きました。毎日、自分のことは横に置いといて指導指導の日々…。実習終了後も、息つく暇もなく、課題や提出物、そして追加審査会に追われて…さらに目が回る忙しさでした。」そういって、先生と学生という正反対の立場を両立する難しさを語るNAGEKIST。「でも、良いこともたくさん。教え子には『先生行ってらっしゃい』と送り出され、今度は『おかえりなさい!』とゼミのみんなに迎えられて泣きそうでした。『さあ卒制!』となったときに心の支えになりました。」両立して得たものは、NAGEKIだけではなかった。






2月に入り、いよいよ卒業制作展まで残り1ヶ月近くとなった。今回は、作業も大詰めとなっている展示班から、こんなNAGEKIが聞こえてきた。
「展示班代表の磯崎です。僕たち展示班は、展示に必要な台座やキャプションなどを制作しています。今回は展示用に、白く塗った台を制作しているんですが、そのうちの一つに、気がついたら何かが付いていて…匂いをかいだら、おしるこでした。」
白い台に、見事に小豆が映えている。
「でも、実はこれ、試作品の台なのでさほど重要ではないんです。ただ、本番用の台だったら、やばかったですね」
最後に、展示代表からの一言で記事を〆る。
「とりあえず、飲み残したおしるこはちゃんと捨ててください!(笑)」







「私は、80年代のアニメーションの動きを、手元で観られる装置を制作しました。写真は現在の装置に落ち着くまでのプロトタイプの一つです。」
この装置は、「ヘリオシネグラフ」という、円盤を回すと静止画がアニメのように動いて見える、元祖アニメーション装置が元になっている。
「これが簡単に出来ると思ったのですが、甘かった。いざ作ってみるとPC画面上では動いていた絵が、装置上では動かない!それからは、回転速度にスリットの広狭、絵数、また焦点の調整にと試行錯誤しました。」
デジタルの作業とは違い、実際に手を動かしてみないとわからないことも多々あるようだ。
「絵自体も動くものが出来るまで、約1000枚は描きました。でも、「動いた!!!」時の感動は計り知れないものがありました。といっても一回転一秒足らずで終わってしまいますが(笑)」
あなたも卒制展で是非、厚みのある一秒を体験してほしい。






「それは、11月も終わりに差しかかる頃。私は悩んでいた。
研究内容はまとまっていたものの、最終的に何を作って発表するかが決まっていなかったのだ。

私『ひとまず、作品のデモムービーとコンセプトボードを提出します!』
教授『それだけじゃ伝わる訳ないだろう。そもそもコンセプトだけで、画面遷移図はいいの?システムの構造図も必要なんじゃない?』
私『は、はい。。そうですね。』
教授『そうしたら、画面の説明も必要になるからボード一枚に収まらないんじゃない?』
私『…!!』

ホワイトボードが、必要なタスクでどんどん埋まっていく。気付けば山のようなタスクをこなさなければならない事態に。最終審査会は、10日後に迫っていた…。」






卒制展では様々な作品が展示されるが、その作品が、初めから想定通りの形で生まれることは、殆どない。
「他人の夢を疑似体験するデバイスを製作しました。丸く囲んだ布に、プロジェクターで夢の文章と挿絵を流して、それを見て体験します。」
今回のNAGEKIは、この、ぐにゃぐにゃの針金だ。
「今の形態になるまでは、布を頭に被るものを考えていました。ですが、それがなかなか思い通りに行かなかった。 針金と布で作ってみたものの、針金が細すぎた為に、力がかかる部分で針金が変形してしまい、イメージとはほど遠い物に…。 さらに、実際に使ってみると、目が近過ぎて映像が見にくいことが分かり、結局この形は使わないことになりました。」
試行錯誤の末に生まれた新しい形とは…?詳しくは、展示会場で!






「僕は卒業制作で、ウィスキー用の一風変わった製氷器を作りました。特にこだわったのは『純氷が出来る製氷器である』ことです。」
純氷とは、不純物のない、透明な氷のことだ。氷は透明で丸いほど、溶けにくく、且つ割れにくくなる。見栄えもよく、BARなどでは専ら純氷が使われる。
「純氷作りは“ゆっくり冷やす”事が最大のポイントなのですが、家庭用の冷凍庫で作ると、温度が低すぎてなかなか上手くいかないのです。そこで、製氷器自体に断熱性を求め、色々な素材を研究しました。その副産物が、写真に写った無惨な物体です。この残骸は『発泡ウレタン製ケース』になる予定だったものです。しかし成型に失敗して木っ端微塵です。僕の心も、木っ端微塵です。」
そんな傷心にも、優しく染み渡るのがウィスキー。「皆さんも一杯如何でしょう?」






「それは最終審査会直前の出来事でした。私の作品は、テーブルマナーを勉強する体験型の本です。
最終審査会では、実際に使い方を見せるデモンストレーションで伝えようと思い、練習をしていた時です。
作品に…誤字を見つけてしまいました。」
どんなに気をつけていても、ふと気がつくとそこにある。それが、誤字脱字。
「もうどーしようもなかったので、なんとかその場を取り繕える修正を入れて、最終審査会を乗り切りました!今は笑い話だけど、見つけた時は、本当、頭が真っ白になりましたね!」






「エディトリアル班代表の石榑です。エディトリアル班は、DM等、印刷物に関する作業を担当しました。」
今回は、その中でも大きな仕事である、作品集に関する嘆きだ。
「作品集は当初A4サイズで制作する予定でした。
が、金銭的な問題から、A5サイズへの変更を余儀なくされました。
その結果…何が起きたかというと、サイズが半分になった分、予定したページ数が倍になりました。
単純に、作業量も倍になりました。個人から作品ページを集めるだけでも一苦労でした。」
でも、その分見応えも、倍になりました。作品集は会場で販売する。