3年生>永原・中野ゼミ
テーマは「スポーツ・グラフィズム」。スポーツはそれを実行したり応援したりすることによって共有できる体験です。その体験をビジュアライズすることによって、さまざまに考察を行ない作品化します。
情報は一般に量子化できるものです。なので、情報によって生まれる感情を視覚化することによって共有することができます。その考察、観察、および情動をビジュアライズする方法を、スポーツの視覚化を通して学びます。
担当教員 永原康史・中野豪雄
大矢晴香
大矢晴香
日本一過酷と言われる山岳レース「TJAR」をテーマに作品を制作しました。レースの概要と選手の感情を分析、最終的には1冊の冊子にレースの全てをまとめました。
富山湾から駿河湾をたった8日間で踏破する過酷さを選手の目線で情報化した作品。激しい山の起伏を示しながら、距離をタイムに応じて伸縮させ、断面は選手の感情に合わせた色温度で表現するなど、グラフィカルな表現によってタイム、地点、感情の複雑な関係を読み解くことができます。
近藤美玖
近藤美玖
日々トレーニングを重ねるスポーツ選手と、朝から晩まで働くサラリーマンでは身体の中でどのような違いがあるのでしょうか。シルエットを元に身体に起きている現象を比較する作品です。
ポーズの類似を切り口に、スポーツ選手とサラリーマンを対比的に見せるという発想がユニークですが、両者個々の図解の明快さ、データの近似性、全体を貫くストーリーなどが、統一されたグラフィックによって構造化されている点が優れています。
佐伯遥
佐伯遥
1896年から2020年までの夏季オリンピックで利用されたスタジアムを、賃貸サイトのようにまとめ、ウェブサイトを制作しました。上から見たスタジアムを線で描き起こし、図面が映えるようなシンプルな色使い・賃貸サイトの要素を取り入れた表現・並び替えや検索機能など、ユーザーが使っていて飽きないような工夫をしました。
オリンピックは国家イベントと言われるだけあって様々な批判を呼ぶコンテンツですが、スタジアムも同様に競技にふさわしい場であることとその後の施設利用という点においても注目が集まります。本作は賃貸サイトというメタファーを用いて、オリンピックスタジアムを批評的に捉え直すウェブコンテンツとして見ることもできるでしょう。
久野新
久野新
ボールが迫ります。落としても、拾っても、変わることはありません。繰り返すだけの作品です。白い空間、誰が誰に向けたのか把握出来ない声援。ヘッドセットを着けた先に広がる空間は、一見特殊でありながらできる限り現実に寄せたものなのです。貴方はその光景を目にして何を思うでしょうか。
スパイクを打たれた側の「恐怖」を疑似体験できるコンテンツを目指した本作は、スパイクを打つ瞬間のスローモーションやボールスピード、観客とその音声などを複合的に絡めることで成功しています。作者自身の体験を丁寧に作品に落とし込むことで説得力を備えたものに仕上がりました。
中島生成
中島生成
私たちの身の回りに溢れている「採点」という行為。自分の中にある基準を変えることによって物事の結果や見え方が変わるのではないかということを伝えるために、明確な採点基準があるスポーツを別の種目の採点方法で採点することによって試合の結果や様子が変わることを表現しました。
テニスの評価軸をフィギアスケートの加点評価システムに変換することで、点数の仕組みが変わることを示した作品。その背景には、一義的な評価システム自体を読み換えることで、ものごとの見方が変わる可能性を提示したいという意図が込められています。