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展示計画演習

課題

「展示」というメディアを通して作品に込めた考えと思いの「伝達化」を試みます。周辺環境や鑑賞者との関係性を考慮しつつ実験的に実践を繰り返し「見え方/感じ方」を変化させてく事で「展示のかたち」を設えます。


いつもの見慣れた場所でも、ふとしたできごとで空間の質の捉え方ががらりと変わる時があります。ほんの少し視点を変えてみたり、振るまいを意識したり、景色のささやかな変化に気づいたり。そのようなパターンや差異を手掛かりに、空間を構成する要素を観察し、実験的に手を加え、かたちにする方法を実践的に学びます。

担当教員 小野田裕士

空間の凝縮

外側の匂い

山下雅稔

山下雅稔

この作品は、球体の中で木の匂いを嗅ぐ作品です。情報デザイン棟という無機的な中で、窓の外に見えている木の匂いを球体の中で嗅ぐことによって、体を包む空間と感じる匂いとの不一致を体験できます。また、この作品に触れた人と触れてない人では見える展示空間が異なるのが特徴です。

選考理由

「匂い」は重要な空間の構成要素ですが、見る事も聴く事もできないゆえメディアへ定着し難く、情報が高度化した現代でも実際に体験すること以外この作品は鑑賞できないのです。また多摩美ではキャンパス内の木の匂いだったサイトスペシフィック性をAXISギャラリーではどう設え直し適応させるか期待させます。

写真においてのレイヤー

写真においてのレイヤー

有光友貴

有光友貴

写真は瞬間を切り取るものです。そこに写っているもの以外は第三者にとっては全く意味を持ちません。しかし、写真はそこに写っていないものまで撮影した人間には重要なものなのかもしれません。それを複数の写真から一つの写真にイメージとして喚び起させるための実験です。

選考理由

複製可能な「写真」メディアはそれゆえ額装などオーソドックスに展示しがちですが、現在では空間と時間での一過性を意識してインスタレーション化しつつあります。この作品はコンセプトをより伝達するため展示のかたちも写真の要素としているのです。

空
空
空

森脇茜

森脇茜

広告で液晶モニタを使うのは効率やコスト面など様々な利点があり、街中で多く設置されています。膨大な情報が混在している社会で今後デジタル媒体の広告表現方法は進化を遂げていくでしょう。今回の展示では使い古されたモニタを集めて、視覚的に人の心を揺り動かす伝達方法をシミュレーションしました。

選考理由

動画作品を制作する場合、まず動画、次にその表示装置を考えますがその装置その周りの設えで動画の見え方は変わってきます。しかも装置は既製品なので予めその装置の仕様に合わせ動画を制作しているとも言えます。この作品はまず装置や空間など展示のかたちから設えてみる事で「動画の在り方/見え方」の再考を試みています。