山本華 / 写真のリアリズム:ヴォルフガング・ティルマンス作品と背景に関する考察
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本論文は、写真を用いる作家を取り上げ、写真が「イメージの真実性」から離れつつも、虚構性によって新たなリアリティや観点を与えることができる、という問いについて考察を試みている。第一章では、作家活動も行う著者の経験からテーマに至るまでの経緯を説明した。第二章では写真のリアリティがどのように論じられてきたのかを先行研究を軸に考察した。第三・四章では、写真の「リアルではないがリアリティはある」という状態についての考察を行なった。本論文は著者による当事者としての学びと問いで締め括られる。また今後に向けて「複雑さを引き受けた上で、写真を扱う作家は撮影の後をいかに想像できるのか」という問いが浮かび上がった。