• z3-02

    河野 真歩

    mahokono@gmail.com

  • 明日には今日がくるとして

  • 可変 

  • メディアラボ

  • 河野真歩は、個人の身体がそれぞれに有する断片的な認識 / 知覚のズレを、そこに存在する事実として記述するという手法で制作を行なってきました。

    トラウマケアの場面で、当事者がトラウマを第三者の視点から繰り返し語ることによって、そのトラウマが過去のこととして認識され、過去と現在を区別できるようになること( =経験が文脈を移動すること)に興味を持った河野は、本作の制作にあたって2人の回答者に対し、過去 / 未来についてのインタビューを行いました。

    映像内での発話は、それが何の質問に対する回答であるのか、誰への回答であるのか明示されることなく並置され、複数の主体の記憶や予測が混在する状況が作られています。
    また、2つの映像は、時折音や語りを通じて重ね合わされ、じきにまた元のバラバラな軸へと戻ってゆきます。
    反芻や予測といった、時間的なズレを伴う発話を交錯させることで、無数の時間軸の狭間で形成される主体の不確かさや、発話行為における主体と肉声の時間的なズレを表出させます。

    本作で焦点が当てられるのは、円環的に繰り返される時間の中で、過去を思い出したり未来を想像することで曖昧になる現在と、絶対的に進んでいく時間との認識の乖離です。