• 米澤柊は、アニメーションに描かれる存在の生き物らしさ- ”生き生き”とした表現を主題に、3年次より制作を続けてきました。本作品はアニメーションにおける残像表現の技法(通称"オバケ")を用いた、アニメーションキャラクターの肉体についての作品です。本作品で扱う"アニメーションのオバケ"とは、アニメーションのフレームからフレームに移り変わる際に起きる仮現運動の隙間に描かれる技法であり、アニメーションキャラクターが素早く動いたり、その心の揺れを表現する際に用いられます。米澤はこの”オバケ”に、これといって定義できる共通の形が存在しないこと(原形質性)に着目しながら、そこに宿るアニメーター独自の身体的感覚に着目します。そして"アニメーションのオバケ"は通常、アニメーションの鑑賞者からは知覚されず、文字通り「死んだ」フレームであること、しかしその存在によって、アニメーション内のオブジェクトが”生き生き”とした質感を与えられることに、米澤は継続して興味を持っています。