• 柴田将希は、人間と機械が協働したドローイングにおける、作者の主体性の曖昧さを主題に扱う作家です。前作「(UN)CONSCIOUS」(2019)において、筋電装置を内蔵した独自のウェアラブル装置を開発し、ドローイングにおける作者の主体性の排除に焦点を当てた柴田は、今作において、アルゴリズムと人間との共作とされるジェネラティブアートを取り上げます。Matt Pearsonによる「Twill」をはじめとするジェネラティブアートはこれまで、出力された結果のどこまでが作者が操作し得るものなのか、あるいは予測し得ない変数による物なのか、その制作過程がブラックボックス化されていました。今作において柴田は、通常であれば変数を入れ替えるために用いられるスライダーを、作家のアルゴリズムに対する関与度合いに当てはめることによって、ジェネラティブアートにおける主体の所在を明らかにすることを試みています。