• 生きていけば、たくさんの出会いと別れがある。良いものも、悪いものも、その人たちと過ごした時間は記憶のかけらとなり、人というパズルを完成させていく。
    人間がそれぞれ違う性格を持つのは、それぞれ違う記憶を持っているからだと思う。記憶の三つの形態は水の三つの形態(固体、液体、気体)と似ている。まさに水そのものである。
    本作は記憶を水に例え、作家が記憶の中にある二つのストーリーを通して、人間が孤独な存在であることを理解していき、執着していた人やものを手放すことを学んでいく。
    昔見た海は青く、深く、でもその記憶に溺れず、今目の前にある美しい青も見よう。