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Interplay / Three clocks

8000 × 8000 × 3000 (mm)

時計、オシレーター、ピエゾマイク、Maxなど

サイン波、ホワイトノイズ、環境音によって針が直接操作される、三台の時計が展示されている。定量化された時間概念、誰しもが持つ固有の時間感覚について思索した作品。

展示された三台の時計は、クオーツ時計の駆動方式が、半ば無理やり展示空間内に拡張された状態にある。クオーツ時計は、水晶振動子による32,768Hzの規則的な振動、高周波が1秒の刻みに変換されることによって時を刻む。つまりは、音そのものによって時計は動いているとも言える。
三台の時計はそれぞれ、サイン波、ホワイトノイズ、それらの音を含んだ環境音が時計の内部回路に直接流し込まれることで駆動する。音の特性に秒針の動きはリンクし動作することで、どこかちぐはぐな時間推移を想起させる。人間は様々な体験や感情の流れによって、それぞれが固有の時間軸を持っている。
一方で、時計は定量的な時間軸を生活の中に溶け込ませ、表示された時間や秒針の音によって、別の時間感覚がもたらされるメディアである。
この作品における時計は、音によって針が動く仕組みを持った単なる「機械」であるということを明示的に示しており、従来の動きを見せないハッキングされた時計を眺めることで鑑賞者の時間感覚は狂わせられ、人間それぞれが固有の時間軸を持っているという当たり前の事実を再認識する。