コンセプトこの作品の主役であるボールペンアニメーションという手法は、私のターニングポイントになった方法で、大学2年次の終わりから始めました。大学の芸術祭に 静止画で軽い気持ちから作り出された作品が最初で、それを先生方に初めて披露したときの好評ぶりには正直戸惑いました。たぶん、その動揺っぷりは人が思っている以上のものだったと思います。なんて言ったって、手間はかかりましたが、「こんな事でいいの?」と思うくらいそれまでの作品とは比にならないくらい、あっさりと作った作品だったので、なんだかポリシーを持って作ってきた今までの自分の作品をおおよそ否定しされた様な 寂しい感覚がありました。しかし、「何かが足りない」と言われ続け、自分でもそう感じるほどに自信を無くしていた時、救いかのようにパッと閃いたようなアイディアだったので、この手法をもっと追及することで私に足りなかった何かに出会えるのではないかと、それまでの無駄に技量ばかり積み込むような方向性を捨ててボールペンで私だからこそ出来る作品作りを模索することにしました。結局、この手法を選んでも、活かす事ができなかったり自分にしっくりくる作品にならなかったりと、悩んだり 苦しいと思うことには変わりありませんでしたが、それでも どうにか足りなかった「何か」が見えたような作品を作ることができました。おかげで作品制作に限らず、自分自身が作ってしまっていた柵からは解かれたと思います。もし、この手法に賭けていなかったら、未だに自分の夢に囚われ、現実と夢の狭間に悩んだまま卒業を迎えていたのかもしれません。今回作品は「ボールペンの絵が動く」という手法を強調することに重点を置きました。しかし、それだけでは物足りなく、この手法の終着点だとは思いません。いつかまたこの手法の行く末を披露できるチャンスに出会えるといいなと思います。
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