トップページ > 学生作品 > 

サウンド

  • 佐藤公俊 『Frozen Oscillator Music』

    建物の壁に無数のピックアップを接続し、そこから得られる物体音をミックス&プロセスすることで、静謐で彫りの深い音響空間を生成するサウンド・インスタレーション作品。フィードバック・ループを活用したサウンド・アート作品は古くから、それこそ星の数程あるが、ここまで多数のピックアップを使用し、さらにそこからフィードバック感をまったく感じさせない独自の音響空間を生成したことに驚かされる。「凍れる音楽」と呼ばれる建築物から、逆に音楽を生成することで建築を解凍する「逆建築としての音楽」というコンセプトも秀逸である。(教授・久保田晃弘)
  • 朝倉卓也 『The Three Straw Band』

    誰でも弾ける楽器ではなく、あえて演奏するために、十分な練習を必要とする楽器をデザインすることで、人間中心のインターフェイス・デザインを再考し、音楽における練習の意義を再確認するための作品。とはいえ、実際のパフォーマンスは、そういった堅苦しい概念や、小難しい理屈を感じさせるものではなく、3人のバンドマンが、何やらストローのようなオブジェを、ひたすら揺ったり、持ち上げたり、はめ込もうとしながら演奏する、純粋なエンターテイメント作品として気楽に楽しむことができる。(教授・久保田晃弘)
  • 大橋史 『Notation of Rotating Earth 「自転譜のための組曲 -ガイア-」』

    風景の中に点在する、"光点"をひとつの音としてとらえ、それを元に新しい楽譜を創造する試み。360度のパノラマ写真として再構成された風景がゆっくりとした速度で回転するさまや、その楽譜から生まれる抽象的な旋律とリズムは見るものに心地よい時間と空間を与えてくれる。作者は大学院への進学も決まっており、この作品を元により一層の発展に期待したい。
    (教授・原田大三郎)

  • 和田永 『Braun Tube Jazz Band』

    和田永くんは,テープレコーダーやブラウン管テレビなどの古い電化製品をコンピュータ制御し,生楽器などと組み合わせて独特の音響作品を制作してきた。卒業制作の「Braun Tube Jazz Band」では、古いブラウン管テレビとPC制御したビデオデッキを音階の数に並べて打楽器を制作、第13回文化庁メディア芸術祭のアート部門で「優秀賞」を受賞した。複数のブラウン管を本能的に叩くパフォーマンスは、アナログとデジタル技術が交錯した叫びのようでもある。
    (教授・三上晴子)

  • 魚住剛 『F - void sample』

    魚住剛くんは、コンセプトと対峙し、メディアアートの置かれた歴史的状況を意識しながら、エージェントの問題やアートにおける出力の可能性を探求、作品を制作してきた。卒業制作「F - void sample」は、発生と消滅のプロセスを点、線、面、立体、超立体へと書き換えて行くプログラムで作られた造形世界を、わずか爪ほどの大きさの液晶ディスプレイに可視化、顕微鏡で覗くという作品で、第13回文化庁メディア芸術祭のアート部門「奨励賞」を受賞した。
    (教授・三上晴子)

  • 石塚千晃 『remains』

    アルミニウムでつくられたミニマルな直方体の中に、それを被るように頭を入れると、内面一面に苔が生息している。生きた苔特有の匂い、高い湿度特有の空気感など、苔というバイオメディアが有している、独特の嗅覚や触覚を体験することができる。その感覚は、視覚というよりもむしろ聴覚的であり、頭を入れた瞬間に音ではない音が聴こえるような感覚がする。21世紀のニューメディアとしての、バイオメディアと知覚の関係を問う作品。
    (教授・久保田晃弘)

  • 大西義人 『音響航海/Sound Sailing』

    劇場を思わせるほどの大きなステージの上に、水平と垂直に設置された、アンティーク風の大型の木製舵輪が設置されている。この作品は、世界各地でサンプリングされた音による、いわば「音地球」を架空の船で自由自在に航海する、インタラクティブな映像音響インスタレーションである。直感的な操作とドップラー効果のシミュレーションによる速度感、そして音と映像に全身が包み込まれるようなスケール感が心地良い。
    (教授・久保田晃弘)

  • そがあやの 『sound round』

    生活の中にとけ込む何気ないインタラクションは、日常生活を活性化させると作者は言う。写真では何の変哲のないテーブルに見えるが、手をかざすとピアノの音色がする。テーブルトップの裏側にセンサーが隠されていて、反応すると音が出る仕組みになっている。うまく手を動かして曲を奏でることもできる。ティータイムにこんなテーブルでお茶をすれば、会話が弾むことだろう。この作品で作者は、生活空間のなかに、メリハリを与える役割を果たすアートのあるべき姿を夢見ようとしている。(准教授・森脇裕之)

  • 山口崇洋 『音響書道』

    音響書道は、書道の際に発生する具体音と、書道そのものが持つリズミカルな筆の運びや筆を握る圧力などのフィジカルな要素で楽曲を構成していくサウンドパフォーマンスである。巨大な半紙の下には、自作のマイクロホンが設置されており、そこで拾った音を筆に取り付けられたスイッチによって任意のポイントでカットアップできる。それらの音を幾重にも重ねてループさせることで、文字が音として空間に充満していく。(教授・久保田晃弘)

  • 坂上まい 『Umwelt』

    大人のためのジャングルジム。グリッド状に組まれた巨大な足場に点在する音を拾いながら、体験者はその中を自由に移動していくことができる。グリッド内には計30個のスピーカーがあり、それぞれ異なる音を出力し、近づくことでそれぞれの音を聴きとることができると同時に、ミックスさせることもできる。寺のお経は波紋のように水平に広がり、教会の讃美歌は頭上から垂直に降り注ぐ。「方向」は「意味」を媒介する。(教授・久保田晃弘)

  • 小島準矢 『Physical Sound Composition』

    音と形態の結びつきをテーマにしたオーディオ=ビジュアル・ライヴパフォーマンス作品である。曲げ、傾き、そして距離センサー用いた自作データグローブをインタフェースとして、オブジェクトを物理的に触れたり、掴んだりするアクションで、演奏者は音という素材に触れながら音響構成を行う。具体的には、大きな「塊」の頂点がオシレータに対応しており、この塊の形態を操作することで、塊としての音響が変化していく。(教授・久保田晃弘)

  • 谷口暁彦 『con (con+opposition)』

    透明な液晶ディスプレイと、超音波センサーによる独自のインターフェイス・デバイスを使用したパフォーマンス作品。東京初台のICCや町田版画美術館を始め、さまざまな場所で演奏された。液晶ディスプレイの背後に手を挿入して操作することで、面としてのインターフェイスを空間としてのインターヴォリュームに拡張し、視覚上の3次元空間と身体的な3次元空間を結びつける。そこにデューラーの遠近法爾来の、2次元と3次元の相克の歴史を重ね合わせることも可能だろう。(教授・三上晴子)

  • 松村志野 『Forest of mind』

    パフォーマーの動きによってコントローラーに対応した音響が変化する。壁とつながれた紐によって、身体による動きが、目に見えるかたちで音響装置とつながっている。身体から発する影響が空間、そしてサウンドを変えてゆく。作者はそれらの要素が、一連のインタラクションによってすべて関係していることをあからさまにした。そうすることで、紐に縛られて本来は不自由なはずのパフォーマーが空間のなかで際だって見えてきた。(准教授・森脇裕之)

  • 柳澤真梨奈 『Howlin -Attack in wave of the Howlin 2-』

    「Howlin(ハウリン)」は操作不能で、やっかいな異物とされているハウリングを奏でるための自作楽器である。オシレータやサンプリングといった音源を一切用いず、透明なチューブとアンプの入出力を直結することから生まれるシンプルなハウリング音だけを素材として、周囲の環境とも呼応しながらリアルタイムに音をコントロールする。連続的なハウリング音と、断続的なパルス音との対比が印象的である。(教授・久保田晃弘)

  • 鈴木由香 『COLOR FREQUENCY Video Turntable』

    自作のターンテーブルとCCDカメラを用いた光学ピックアップを組み合せた作品。絵を描くことで音をつくりだすことができる。ピックアップからの光の入力を黒、赤、黄、青、緑の五色に分解し、そこからさまざまな音を生成すると同時に、ターンテーブル自体の回転をコントロールする。その場で自分の「色レコード」をつくることもできる。インタラクションとフィードバックの組み合わせが絶妙だ。(教授・久保田晃弘)

  • 井上恵介 『SPACE MAESTRO』

    サウンド・メディアの持つ空間性に着目したのは、けっして井上が初めてではない。ライトやサウンドを空間的な素材としてとらえ、自らの手でそれらを思うように操りたいと考えるのは、むしろ自然な気持ちの表れである。井上の作り出したサウンド空間は、半球ドーム内の人々を、強制的にひとつの世界にたたき込む強さがある。しかもそれをつくり出しているのが、井上の手のひらのなかで操られる、もう一つの半球。サウンドと空間の一体感を手のひらのなかから生み出している事実が、この作品の世界観を象徴している。(准教授・森脇裕之)

  • 矢代諭史 『Back To the Future』

    力(パワー)をテーマに制作されたインスタレーション/パフォーマンス作品。ウーハーとトゥイーターから低音と高音のみを放出しながら移動する音響電車、というマッシヴな装置であるが、その背後ではコンピュータによる音響と運動の精密な制御システムが作動しており、さまざまな方面への応用発展も期待できる。(教授・久保田晃弘)

  • 関崎香枝 『water ballet』

    サウンドにあわせてパイプの内部の水流が変化し、光に照らされた渦が生き物のようにくねりながら、さまざまな表情を見せる。水の持つ表情を渦の流れによってうまく表現した作品である。渦を作り出すところに独自のノウハウを確立した。有機的な水のイメージと用意されたサウンドのイメージが重なって感じることができる点が秀逸だ。インテリアに組み込んだり、サウンドオブジェとして、今後の応用の可能性を感じる作品である。(准教授・森脇裕之)

  • 渡邉郁美 『木人音』

    木製の機械といえば、からくりを思い出すが、からくりの持つ触感やぬくもりを現代風にアレンジして、新しい木製楽器に仕上げたのが本作品である。作品では木製楽器特有の包み込むような優しい響きを追求しただけではない。もともと楽器はインラタクティブな道具であるが、センサやモータを組み込むことによって、より作品の空間性に重点を置いた結果、新しい楽器のカテゴリーを作り出せたのではないだろうか。(准教授・森脇裕之)

  • 大久保雄輔 『Individual propaganda』

    ハーフミラーで覆われた2つのタワー状カプセルの中で、観賞者は強烈な光と音を体験する。周囲は見えないが周囲からは見られている、という反転させられた双子の(逆箱男的)環境が、メディアによるプロパガンダという外的要因と人間の記憶という内的要因の狭間、あるいは国家や宗教といった集団と個人の狭間を浮き彫りにする。(教授・久保田晃弘)

  • 曽田玲奈 『オルゴーリィ』

    日常生活の感覚にメディアのセンスを取り入れた佳作。テーブルの上のふたを開ける行為や、聞こえてくるオルゴールの響きによって、身の回りにある何気ないものや、何気ない仕草を取り入れ、あくまで自然な感覚でオルゴールのサウンドを聴かせる。作者の制作姿勢は、この自然感覚であり、それがこの作品の場合無理なく出ていて、観客は思わず手を伸ばし、微笑ませるものとなっている。(准教授・森脇裕之)