トップページ > 学生作品 > 

パフォーマンス

  • 佐藤亮介 『音信』

    携帯電話が普及して、かつては当たり前のように見かけた公衆電話が姿を消しつつある。佐藤は懐かしい感覚のある公衆電話を改造し、電子楽器として生まれ返らせて、演奏パフォーマンスを行った。近年の急激なメディアの進歩は、街の風景を変えてしまったわけであるが、同時に人間のリズムも変容させてしまったのだろうか?佐藤の活動にはそのような問いかけがある。歩きながら通話できる携帯電話に対して固定電話では、人は電話の前に釘付けにならざるを得ない。電話の筐体にあるボタンを操作しながら、重い受話器を耳に当てる。かつての日常的な動作を、佐藤は懐古的な演奏スタイルとしてこだわった。このパフォーマンスは、メディア機械の変遷を扱いながら、いつもそこにいる人間の物語だととらえるべきだろう。(准教授・森脇裕之)
  • 佐藤公俊 『Frozen Oscillator Music』

    建物の壁に無数のピックアップを接続し、そこから得られる物体音をミックス&プロセスすることで、静謐で彫りの深い音響空間を生成するサウンド・インスタレーション作品。フィードバック・ループを活用したサウンド・アート作品は古くから、それこそ星の数程あるが、ここまで多数のピックアップを使用し、さらにそこからフィードバック感をまったく感じさせない独自の音響空間を生成したことに驚かされる。「凍れる音楽」と呼ばれる建築物から、逆に音楽を生成することで建築を解凍する「逆建築としての音楽」というコンセプトも秀逸である。(教授・久保田晃弘)
  • 朝倉卓也 『The Three Straw Band』

    誰でも弾ける楽器ではなく、あえて演奏するために、十分な練習を必要とする楽器をデザインすることで、人間中心のインターフェイス・デザインを再考し、音楽における練習の意義を再確認するための作品。とはいえ、実際のパフォーマンスは、そういった堅苦しい概念や、小難しい理屈を感じさせるものではなく、3人のバンドマンが、何やらストローのようなオブジェを、ひたすら揺ったり、持ち上げたり、はめ込もうとしながら演奏する、純粋なエンターテイメント作品として気楽に楽しむことができる。(教授・久保田晃弘)
  • 和田永 『Braun Tube Jazz Band』

    和田永くんは,テープレコーダーやブラウン管テレビなどの古い電化製品をコンピュータ制御し,生楽器などと組み合わせて独特の音響作品を制作してきた。卒業制作の「Braun Tube Jazz Band」では、古いブラウン管テレビとPC制御したビデオデッキを音階の数に並べて打楽器を制作、第13回文化庁メディア芸術祭のアート部門で「優秀賞」を受賞した。複数のブラウン管を本能的に叩くパフォーマンスは、アナログとデジタル技術が交錯した叫びのようでもある。
    (教授・三上晴子)

  • 山口崇洋 『音響書道』

    音響書道は、書道の際に発生する具体音と、書道そのものが持つリズミカルな筆の運びや筆を握る圧力などのフィジカルな要素で楽曲を構成していくサウンドパフォーマンスである。巨大な半紙の下には、自作のマイクロホンが設置されており、そこで拾った音を筆に取り付けられたスイッチによって任意のポイントでカットアップできる。それらの音を幾重にも重ねてループさせることで、文字が音として空間に充満していく。(教授・久保田晃弘)

  • 高橋直樹 『CHERRY KING 5号 大人の秘密基地』

    戦車が好きで、つくってしまった男。自分の好きなことをそのまま実践してできたのがこの「妄想の戦車」だ。そのできばえを見る限り、どんなことでも自分の信じることに覚悟を決めてとり組む姿勢について、彼はお手本をしめしてくれたといえるだろう。こだわりをそのままぶつけることは、何をおいてもアートの基本中の基本だろう。美術学校に入学してこのもっとも重要なことに出会った彼は正しかった。(准教授・森脇裕之)

  • 松村志野 『Forest of mind』

    パフォーマーの動きによってコントローラーに対応した音響が変化する。壁とつながれた紐によって、身体による動きが、目に見えるかたちで音響装置とつながっている。身体から発する影響が空間、そしてサウンドを変えてゆく。作者はそれらの要素が、一連のインタラクションによってすべて関係していることをあからさまにした。そうすることで、紐に縛られて本来は不自由なはずのパフォーマーが空間のなかで際だって見えてきた。(准教授・森脇裕之)

  • 柳澤真梨奈 『Howlin -Attack in wave of the Howlin 2-』

    「Howlin(ハウリン)」は操作不能で、やっかいな異物とされているハウリングを奏でるための自作楽器である。オシレータやサンプリングといった音源を一切用いず、透明なチューブとアンプの入出力を直結することから生まれるシンプルなハウリング音だけを素材として、周囲の環境とも呼応しながらリアルタイムに音をコントロールする。連続的なハウリング音と、断続的なパルス音との対比が印象的である。(教授・久保田晃弘)

  • 井上恵介 『SPACE MAESTRO』

    サウンド・メディアの持つ空間性に着目したのは、けっして井上が初めてではない。ライトやサウンドを空間的な素材としてとらえ、自らの手でそれらを思うように操りたいと考えるのは、むしろ自然な気持ちの表れである。井上の作り出したサウンド空間は、半球ドーム内の人々を、強制的にひとつの世界にたたき込む強さがある。しかもそれをつくり出しているのが、井上の手のひらのなかで操られる、もう一つの半球。サウンドと空間の一体感を手のひらのなかから生み出している事実が、この作品の世界観を象徴している。(准教授・森脇裕之)