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デバイス/ガジェット

  • 長岩久美子 『無言(成体)』

    作者は半人工=半自然の美しさに惹かれ、品種改良された愛玩動物や金魚などをモチーフに、メディアアート、映像、写真、イラストレーションなど多様な作品を制作してきた。「無言」は言葉や理屈ではなく、体で感じる人工生命体であり、生命という人間にとって永遠のテーマを、非言語的に実体化した作品でもある。動物のようでありながら、目も鼻も口も、手も足もなく、植物のようでありながら、体毛や体温があり、抱き上げると心臓の鼓動が感じられる。無言の生物は、一体何を感じ、何を考え、何を想像しているのか? 植物や動物と人間は、本当にコミュニケーション可能なのか? そのことを客観的に検証することはできない。「無言」には、人工衛星が近づくと興奮し、鼓動が速くなる個体も存在する。(教授・久保田晃弘)
  • 馬場美沙紀 『Type [img];』

    馬場美沙紀は2年次から一貫して「新しいメディア」と「古いメディア」を合体させた秀逸なメディアアート作品を制作してきた。「電球」「カセットテープ」「新聞」「絵画」なども取り入れた作品郡はアナログとデジタルが絶妙に一体化している。卒業制作のType [img];も「タイプライター」という古いインターフェイスで文字を打ち込むとネットから集められた様々な文字のように見える写真が現れる作品である。そしてそのデジタルメッセージは絵ハガキというアナログな方法で参加者の元に郵便で送られる。ArduinoによるデバイスとopenFrameworksというコンピュータプログラミングを駆使したこのメディアアート作品は、もはやコンピュータがそこにあることに気がつかないというエリアに到達している。(教授・三上晴子)
  • 堀口淳史 『SateLRite』

    「SateLRite」は、16 cm キューブの中にガラス鏡や半鏡、レーザー、LED などの部品や、温度センサや色センサ、ジャイロ、電界強度計などが組み込まれた衛星芸術作品である。組み込まれたセンサの情報や、既に宇宙空間を周回している東大の PRISM 衛星のデータと連携して光のパターンが変化する。この作品は、現在ARTSATプロジェクトで東京大学と開発中の芸術衛星「INVADER」と対になる、宇宙空間を周回する衛星を身近に感じるための地上の衛星として制作された。2011年12月に九州工業大学で開催された「UNISEC WORKSHOP 2011」では、この作品を含む多摩美の衛星芸術活動が発表され、ポスター賞で1位、プレゼンテーション内容に対して与えられるUNISON賞で2位を獲得した。(教授・久保田晃弘)
  • 朝倉卓也 『The Three Straw Band』

    誰でも弾ける楽器ではなく、あえて演奏するために、十分な練習を必要とする楽器をデザインすることで、人間中心のインターフェイス・デザインを再考し、音楽における練習の意義を再確認するための作品。とはいえ、実際のパフォーマンスは、そういった堅苦しい概念や、小難しい理屈を感じさせるものではなく、3人のバンドマンが、何やらストローのようなオブジェを、ひたすら揺ったり、持ち上げたり、はめ込もうとしながら演奏する、純粋なエンターテイメント作品として気楽に楽しむことができる。(教授・久保田晃弘)
  • 和田永 『Braun Tube Jazz Band』

    和田永くんは,テープレコーダーやブラウン管テレビなどの古い電化製品をコンピュータ制御し,生楽器などと組み合わせて独特の音響作品を制作してきた。卒業制作の「Braun Tube Jazz Band」では、古いブラウン管テレビとPC制御したビデオデッキを音階の数に並べて打楽器を制作、第13回文化庁メディア芸術祭のアート部門で「優秀賞」を受賞した。複数のブラウン管を本能的に叩くパフォーマンスは、アナログとデジタル技術が交錯した叫びのようでもある。
    (教授・三上晴子)

  • 魚住剛 『F - void sample』

    魚住剛くんは、コンセプトと対峙し、メディアアートの置かれた歴史的状況を意識しながら、エージェントの問題やアートにおける出力の可能性を探求、作品を制作してきた。卒業制作「F - void sample」は、発生と消滅のプロセスを点、線、面、立体、超立体へと書き換えて行くプログラムで作られた造形世界を、わずか爪ほどの大きさの液晶ディスプレイに可視化、顕微鏡で覗くという作品で、第13回文化庁メディア芸術祭のアート部門「奨励賞」を受賞した。
    (教授・三上晴子)

  • 伏見再寧 『M・Lantern』

    伏見の作品の魅力は、映像のもつ生々しさを伝えてくれるところにある。そこにたちあらわれる映像は、デジタルに慣れきったわれわれにリアルを突きつける。20世紀からの映像メディアはつねにリアルを追究してきたが、はたしてそれをクリアしてきたのか、疑わしいところも残している。そういうなかで、あえて時代の遺物化しつつある実物投影機の原理をもちだし、そこに現代的な味つけをほどこした。そうして生み出される映像に、今日的な意義を見いだそうとする伏見の取り組みは、これから重要な意味を持つものとなるだろう。(准教授・森脇裕之)

  • 山口崇洋 『音響書道』

    音響書道は、書道の際に発生する具体音と、書道そのものが持つリズミカルな筆の運びや筆を握る圧力などのフィジカルな要素で楽曲を構成していくサウンドパフォーマンスである。巨大な半紙の下には、自作のマイクロホンが設置されており、そこで拾った音を筆に取り付けられたスイッチによって任意のポイントでカットアップできる。それらの音を幾重にも重ねてループさせることで、文字が音として空間に充満していく。(教授・久保田晃弘)

  • 坂上まい 『Umwelt』

    大人のためのジャングルジム。グリッド状に組まれた巨大な足場に点在する音を拾いながら、体験者はその中を自由に移動していくことができる。グリッド内には計30個のスピーカーがあり、それぞれ異なる音を出力し、近づくことでそれぞれの音を聴きとることができると同時に、ミックスさせることもできる。寺のお経は波紋のように水平に広がり、教会の讃美歌は頭上から垂直に降り注ぐ。「方向」は「意味」を媒介する。(教授・久保田晃弘)

  • 小島準矢 『Physical Sound Composition』

    音と形態の結びつきをテーマにしたオーディオ=ビジュアル・ライヴパフォーマンス作品である。曲げ、傾き、そして距離センサー用いた自作データグローブをインタフェースとして、オブジェクトを物理的に触れたり、掴んだりするアクションで、演奏者は音という素材に触れながら音響構成を行う。具体的には、大きな「塊」の頂点がオシレータに対応しており、この塊の形態を操作することで、塊としての音響が変化していく。(教授・久保田晃弘)

  • 森浩一郎 『gossamer 1』

    gossamer1は抽象絵画を自動生成するマシンによる絵画インスタレーションである。マシンは天井から吊るされており、作品を展示している空間の音を解析し、グルーを絵具として、カンバス上にエロティックでグロテスクな独特の質を持った半立体の抽象画を描く。オートマティズムの画家のパロディであると同時に、部屋の音や風といった環境とインタラクトしながら制作する、創作の主体を問う作品ともなっている。(教授・久保田晃弘)

  • 谷口暁彦 『con (con+opposition)』

    透明な液晶ディスプレイと、超音波センサーによる独自のインターフェイス・デバイスを使用したパフォーマンス作品。東京初台のICCや町田版画美術館を始め、さまざまな場所で演奏された。液晶ディスプレイの背後に手を挿入して操作することで、面としてのインターフェイスを空間としてのインターヴォリュームに拡張し、視覚上の3次元空間と身体的な3次元空間を結びつける。そこにデューラーの遠近法爾来の、2次元と3次元の相克の歴史を重ね合わせることも可能だろう。(教授・三上晴子)

  • 松村志野 『Forest of mind』

    パフォーマーの動きによってコントローラーに対応した音響が変化する。壁とつながれた紐によって、身体による動きが、目に見えるかたちで音響装置とつながっている。身体から発する影響が空間、そしてサウンドを変えてゆく。作者はそれらの要素が、一連のインタラクションによってすべて関係していることをあからさまにした。そうすることで、紐に縛られて本来は不自由なはずのパフォーマーが空間のなかで際だって見えてきた。(准教授・森脇裕之)

  • 柳澤真梨奈 『Howlin -Attack in wave of the Howlin 2-』

    「Howlin(ハウリン)」は操作不能で、やっかいな異物とされているハウリングを奏でるための自作楽器である。オシレータやサンプリングといった音源を一切用いず、透明なチューブとアンプの入出力を直結することから生まれるシンプルなハウリング音だけを素材として、周囲の環境とも呼応しながらリアルタイムに音をコントロールする。連続的なハウリング音と、断続的なパルス音との対比が印象的である。(教授・久保田晃弘)

  • 大畑彩 『internal sense -1project ver2.5』

    闇の中で仮想の物体を身体の振動で認識していくこのインタラクティブ・インスタレーションは、身体の触覚と聴覚に焦点をおいている。ランダムに移動する仮想物体は空間と身体を知覚する対象として存在し、空間を歩き周りながら「それ」を探し当てると、手に装着した振動装置により位置や大きさが感知できる。暗闇という視覚を排除された空間で体験するこの作品は、身体と空間のダイアローグ環境を作り出し、2003年NTTインターコミュニケーションセンターの「Nextメディアアートの新世代」展に最年少で出品された。(教授・三上晴子)

  • 鈴木由香 『COLOR FREQUENCY Video Turntable』

    自作のターンテーブルとCCDカメラを用いた光学ピックアップを組み合せた作品。絵を描くことで音をつくりだすことができる。ピックアップからの光の入力を黒、赤、黄、青、緑の五色に分解し、そこからさまざまな音を生成すると同時に、ターンテーブル自体の回転をコントロールする。その場で自分の「色レコード」をつくることもできる。インタラクションとフィードバックの組み合わせが絶妙だ。(教授・久保田晃弘)

  • 平川紀道 『GLOBAL BEARING』

    この作品は自作のインターフェイスにより「地球」を感覚的に探査できるインタラクティブ・インスタレーションである。手で垂直と水平の間を自在に操っていくと、地球の裏側にまでも到達していくことが可能である。丸い地球は足元に広がる大地と一致してないというスケール感への疑問から生まれたこの作品は、文化庁メディア芸術祭で「優秀賞」を受賞した他、幾つもの公募展で優秀賞を受賞した。作品は東京都写真美術館、山口情報芸術センターなどでも展示された。(教授・三上晴子)

  • 井上恵介 『SPACE MAESTRO』

    サウンド・メディアの持つ空間性に着目したのは、けっして井上が初めてではない。ライトやサウンドを空間的な素材としてとらえ、自らの手でそれらを思うように操りたいと考えるのは、むしろ自然な気持ちの表れである。井上の作り出したサウンド空間は、半球ドーム内の人々を、強制的にひとつの世界にたたき込む強さがある。しかもそれをつくり出しているのが、井上の手のひらのなかで操られる、もう一つの半球。サウンドと空間の一体感を手のひらのなかから生み出している事実が、この作品の世界観を象徴している。(准教授・森脇裕之)

  • 毛利悠子 『magnetic organ』

    磁気ループをテーマとしたこの作品は、身体が知覚していながら認知不可能な磁気への探求を作品化したもので、自然科学と芸術の脱領域化を図っている。作品は立体作品として宙に吊り、全方向からのアクセスが可能である。現在は、身体の血流データをコンピュータの媒介により数値化し、身体へとフィードバックしていくループシステムを構築、さらなるバージョンアップを進めている。(教授・三上晴子)

  • 東條雅信 『walling in the wall』

    われわれの空間を規定する壁のあり方を、積極的にとらえなおした。非常に精緻なコントロールによって、壁に埋め込まれた光の点に動きを与え、数多くのパターンを見せてくれる。なめらかな動きとともに布張りの張力によって、有機的な曲面が立ち上がり消えてゆく。自ら発光するLEDの光と、表面の凹凸が形作る影の動きがあいまって美しい。その様子を見ていると壁面オブジェとして、しなやかな配慮が感じられ、公共空間に向けての提案を意識しているのがうかがえる。(准教授・森脇裕之)

  • 中野恵一 『de posit de-posit-ion posit-ion』

    頭上に張り巡らされた線の上を紙の襞がゆっくりと蠢きながら這っていく作品。その襞はまるで体内の器官のようでもあり、身体の内部の動きが外部まで拡張したかのようだ。ここで生成される形態は膨張と収縮を繰り返しながら天井を侵食するように堆積する。作品にあてられた光によって床部分にも襞の動く様子が投影され、鑑賞者がそれらの間に入ることによりインスタレーション空間全体も変容していく構成となっている。(教授・三上晴子)