風景の中に点在する、"光点"をひとつの音としてとらえ、それを元に新しい楽譜を創造する試み。360度のパノラマ写真として再構成された風景がゆっくりとした速度で回転するさまや、その楽譜から生まれる抽象的な旋律とリズムは見るものに心地よい時間と空間を与えてくれる。作者は大学院への進学も決まっており、この作品を元により一層の発展に期待したい。
(教授・原田大三郎)
荘子の"胡蝶の夢"をキーワードにし、文学・数学・哲学・科学が持つテーマや問題を盛り込み、作者の人生観を表現したモーショングラフィックス作品。作者の卓越した、グラフィック感覚やアプリケーションへの知識が随所に埋め込まれている。また締め切り間際まで努力した、その結果が作品に反映されているのも好感が持てる。完成度の高さは作者がすでに映像の世界でプロフェッショナルとして生きていくことが出来ることを物語っている。(教授・原田大三郎)
横たわる人物。その人物の微妙な動きをシミュレーションした骨のCG映像。その二つの映像を、ある時間軸の中で重ね合わせ、黒いベッドの上に投影したインスタレーション作品。作者は三年次より、"骨"を意識し、様々な作品を制作し今回のスタイルに辿り着いた。その思考の過程は今回の作品を見ると決して無駄になっていなかったことが判る。(教授・原田大三郎)
フェルメールの絵画をCGで再現し、ステレオスコープを用いて立体視を体験させ、さらにその画像を回転させることにより、描かれた部屋のなかへ入ってしまうという驚くべき作品である。メディア・アートをパースペクティヴの歴史のなかへ投げ返しながら、「キャンバスの裏側」というフィクションを示し、「絵画によって見られる」という不思議な経験を惹き起こす。技術と魔術の結婚である。(教授・原田大三郎)
Cg合成による風景写真『Rocket』では、都会や観光地といった見慣れた日本の風景の中に、当然のように巨大なロケットが配置されている。しかし合成された風景写真を見ていても、いごこちの悪い違和感、ましてパロディー的な印象は受けない。狭い国土をパッチワークのごとく様々な人工物と情報が埋め尽くしているこの国の現状を考えるなら、ほんの少し今までの歴史が違っていたなら実際にあったかもしれない日本の風景なのだ。中江の『Rocket』が教えてくれるのは、可能性の中にあるもう一つの日常なのだ。(教授・原田大三郎)
Cgによる仮想の都市というテーマを、作者は一年を通し持ち続け、途中、様々な試行錯誤があったが、最終的には現在の形に収まった。完成した作品だけでは、なかなかその試行錯誤の経緯を見ることは出来ないが、しかしその日々の努力の結果がこの作品を生み出したのは事実である。圧倒的なモデリング量によって表現されたこの都市は、そのリアリティーによって現実と仮想との狭間の、不思議な空間を創り出すことに成功している。(教授・原田大三郎)
甲冑を着た操り人形と博士との関係が、人間とマシンのイロニーになっている。ヴァーチャルリアリティを古典的な芸術と対比しているようにも読める、秀逸な本格的3DCG作品である。(教授・原田大三郎)