-
ボールがレールを伝いながら転がる過程を見せる作品。その途中では軽やかな音を発する仕掛けがあったりする。ボールインスタレーションは、過去にも例はあるが、作者がこだわっているのは、木製素材であるという点だ。作者はこれまでも、木製玩具に興味を持ち、さまざまなアプローチを繰り返してきた。自然素材として子供が触ったとしても、危険性がなく、手になじみやすい性質に着目していた。とくにボールが転がってレール面のでこぼこを越えてゆくときや、衝突するときに発する音は、木製ならではの柔らかななじみやすい音がここちよく感じる。そのような音響効果もあるが、この作品ではボールが頂点まで上ったのちに、枝葉を伝って落ちる様子を木々の生命の営みにたとえて、一種の生命賛歌を表現することを意図している。木の持っている素材感覚の追究から始まって、作品そのものの存在で自然への憧憬を表現しようとしたのである。(准教授・森脇裕之)
-
その他の画像
-