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山林美樹子『MIKIKO_house』

  • 彼女はアーティストの卵である。まだ孵化をしていないが、世に出るチャンスをうかがってその準備に余念がない。したがって、近い未来に花開くことになる自分の世界を探し求め、自分が自分らしくなる空間を懸命に作り込んでゆくのが、さしあたっての彼女の仕事だ。もちろんそれは、世に出ることを尻込みしているモラトリアム発想ではなく、真摯にアーティストとしての責任を果たすことを考えているのだが、成長する将来の自分自身を客観的に観察している、彼女独特のメタ的な視点もふくまれるところが面白い。アーティストのアトリエでは、そこに用意されている画材も、メモも、さらに食べ物の嗜好すらも、本人の心情そのまま反映させたものとなって独自の空間を形成する。彼女の活動においてはアトリエ制作環境を作りあげることと、作品を制作することはまったく同義なのである。自分は未熟だと思い込んでいる彼女は、自分の将来の作品に向けての構想を練りつづけるうちに、すでに成長し続けるアーティストであることに気づくことになるのだろうか。
    (准教授・森脇裕之)

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