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野田の作品は、個人や家族が写された日常のなにげないスナップ写真を、もとの状況が分からないほど、多重現像処理を繰り返して作り出される。それらは火と熱で幾度となく焼かれ、偶然できた痕跡のような、抽象的で不確かなイメージだ。しかし時間をかけて作品を見続けていると、イメージを形成していたもとの写真がもっていた意味や事象が、作品全体を成立する細胞や成分として小さな声で囁きはじめる。響き合い共鳴し合うそれらの呟きの声は詩となり、だれもが抱えている記憶の根底に語りかけてくる。(准教授・佐々木成明)