真摯な眼差しで見知らぬ場所を移動してゆくイメージの連なりは親にはぐれてさまよう子供の頃の記憶を思い起こさせる。写真は本質的に遊民の眼差しであることをきづかせてくれる佳品。(教授・港千尋)
現代の技術革新のめまぐるしい変化を逆手にとって、親密で、繊細な、時間の詩をうみだそうとしている。20年にも及ぶ時間の遠近法を見るものにも感知させる秀作。(教授・港千尋)
頭上に張り巡らされた線の上を紙の襞がゆっくりと蠢きながら這っていく作品。その襞はまるで体内の器官のようでもあり、身体の内部の動きが外部まで拡張したかのようだ。ここで生成される形態は膨張と収縮を繰り返しながら天井を侵食するように堆積する。作品にあてられた光によって床部分にも襞の動く様子が投影され、鑑賞者がそれらの間に入ることによりインスタレーション空間全体も変容していく構成となっている。(教授・三上晴子)
誰もが遊んだ砂場の本来持っている自由な造形の場を、コンピュータによる色彩を加えることで、さらに興味深いものに演出した作品。プロジェクタで砂に投影された画像が、不思議な立体感を持って立ち上がる。コンピュータで描画された色彩、形体と、砂の造形がつくりだす自由な造形のバリエーションに戯れながら、その視覚効果は奥深く、興味つきさせない。子どもにも理解できる、身体的なインターフェースを実現している点が優れている。(准教授・森脇裕之)
われわれの空間を規定する壁のあり方を、積極的にとらえなおした。非常に精緻なコントロールによって、壁に埋め込まれた光の点に動きを与え、数多くのパターンを見せてくれる。なめらかな動きとともに布張りの張力によって、有機的な曲面が立ち上がり消えてゆく。自ら発光するLEDの光と、表面の凹凸が形作る影の動きがあいまって美しい。その様子を見ていると壁面オブジェとして、しなやかな配慮が感じられ、公共空間に向けての提案を意識しているのがうかがえる。(准教授・森脇裕之)
サウンドにあわせてパイプの内部の水流が変化し、光に照らされた渦が生き物のようにくねりながら、さまざまな表情を見せる。水の持つ表情を渦の流れによってうまく表現した作品である。渦を作り出すところに独自のノウハウを確立した。有機的な水のイメージと用意されたサウンドのイメージが重なって感じることができる点が秀逸だ。インテリアに組み込んだり、サウンドオブジェとして、今後の応用の可能性を感じる作品である。(准教授・森脇裕之)